ライティングの効果
ジオラマの印象を大きく変えるのが、ライティングです。
ライティングとは光の当て方のことですが、そもそも写真とはカメラで被写体が反射する光を捉えることですので、ライティングは写真の基本技術と言ってよいでしょう。
カメラの性能は年々進歩しています。
スマホ内蔵のカメラでも、昔のカメラとは比較にならないほどの高性能です。
ですので、きれいなだけの写真なら誰もが簡単に撮れるようになりました。
それにもかかわらず、撮影した写真が今ひとつイケてないように感じるのは、ライティングの効果をしっかり生かせていないからということです。
実際、被写体に光を均一に当てて撮影するときれいな仕上がりにはなりますが、なんとなく平坦で立体感に欠けた写真になってしまいます。
ジオラマとはリアルな風景を再現することですから、光の当たり方も一様ではありません。
そのため立体感のある写真に仕上げるためには、光の色や角度を調節して本物らしさを追求する必要があるのです。
ジオラマをリアルに見せる光の色と角度
被写体に当たる光の色と角度が違えば、単に均一に当てただけの写真よりも立体感が増し、非常にリアリティーにあふれた仕上がりになります。
そこで覚えておきたいのが、照明の色の種類です。
照明の色の種類は、ケルビン数という光の色温度を数値化した単位を用います。
まず、暖かみが感じられるのが電球色です。
黄色い暖色系で3,000ケルビン以下の光がこれにあたります。
若干暗く感じますが、その分、暖かさや懐かしさなどを出すのに効果的です。
ジオラマなら懐かしい街並みを再現したいときなどにぴったりでしょう。
日光で照らされた自然の光の色に近いのが、白昼色です。
5,000ケルビン前後の色温度で、白昼色に照らされると被写体の色がそのまま再現できます。
無難な色と言えるでしょう。
白昼色より青みがかっているのが昼光色です。
色温度が10,000ケルビン以上になると、青みがかった夜らしい雰囲気が演出できます。
機械などメカニックなパーツを際立たせるのにもよいでしょう。
これら光の3種類の色を踏まえたうえで、光を当てる角度の違いも理解しておきましょう。
光の角度は5つに分類でき、まず光を正面から照らすのが順光です。
光を当てたものの形や色をはっきり映すことができますが、立体感のない平坦な印象になってしまいます。
撮影した写真がイケてないと感じるのは、順光でばかり撮影しているからでしょう。
一方、真上からの光であるトップ光は物に影を与えるため、奥行きが広がり立体感が出ます。
真横からの光はサイド光といって、トップ光と反対の表現に適した角度です。
また、斜め前から照らす斜光もトップ光と同様、立体感を表現するのに最適です。
斜め後ろからは半逆光といって、こちらも立体感を際立たせます。
ただし、逆光気味で暗い印象になってしまうので、補助光として使うとよいでしょう。